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『芝生の復讐』 リチャード・ブローティガン、(訳)藤本 和子

評価:
リチャード ブローティガン
新潮社
¥ 500
(2008-03-28)

雨に濡れそぼつ子ども時代の記憶と、カリフォルニアの陽光。その明暗のはざまに浮かびあがる、メランコリアの王国。密造酒をつくる堂々たる祖母、燃やされる梨の木、哀しい迷子の仔犬、ネグリジェを着た熊、失われた恋と墓のようなコーヒー、西瓜を食べる美しい娘たち・・・。
囁きながら流れてゆく清冽な小川のような62の物語。『アメリカの鱒釣り』の作家が遺したもっとも美しい短篇集。

みずみずしい文章とナイーヴな感性がキラリ。
物語、寓話、スケッチから、詩や散文のようなものまで、さまざまな形態のお話たちをひとつの木箱に無秩序に集めてみた、そんな趣きの短篇集です。
ある時代のアメリカ、そこで見聞きしたものの影響をつよく感じさせながら、幻想と現実が交互に襲ってくる奇抜でシュールな世界。
言葉のはしばしにひんやりとした孤独がやどり、穏やかなまなざしの向こうに絶望がひっそりと横たわっている・・・作者の息づかいや体温に心を澄ませながら読んでいると、時おり心をするどく刺すような言葉の結晶に行き当たります。そのかけらが刺さった場所が、いまも哀しくひりついています。
私のお気に入りは、『芝生の復讐』、『きれいなオフィス』、『装甲車 ジャニスに』。

(原題『REVENGE OF THE LAWN : Stories 1962-1970』)
Author: ことり
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