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『飛ぶ教室』〔再読〕 ケストナー、(訳)丘沢 静也

評価:
ケストナー
光文社
¥ 500
(2006-09-07)

孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家ゼバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス。
同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。

クリスマスが近づき、ふと、この本のことを思い出しました。
はじめて読んだのはもうあまりにも前なので、内容もうろ覚え・・・でも、不思議とまえがきとあとがきのことは憶えていて。子供心に印象的だったみたいです。
この本は、まえがきと本編とあとがきで、ひとつの物語(メッセージ)なのだと思う。

まえがきに、こんな印象的なことばがあります。
どうして大人は自分の若いときのことをすっかり忘れてしまうのだろうか。子どもだって悲しくて不幸になることがあるのに、大人になると、さっぱり忘れてしまっている。
思いきって言ってしまえば、この文章こそがこの物語のすべてなのでしょう。
「大切なことを忘れるな」「若いときのことを忘れるんじゃないよ」・・・そんなふうに。
ジョニーたちのまわりには、禁煙さんや正義さんといった素敵な大人たちがいます。
子どもの頃の気持ちを少しも忘れていない、心から信じられる大人たち。いつか私もこんな大人になれたらいいなぁ・・・あの頃そう思ったはずだったけど、いまの私は? やっぱり月並みな、すれっからしの大人になってしまった、のかな・・・。

子どもの頃に読んだ『飛ぶ教室』がどの版だったのかいまとなってはもう分からないけれど、今回えらんだこの文庫は「初めて大人の目線をはっきりと導入し、軽やかで明晰な話として蘇らせた」という新訳で、原文により忠実にしたがった簡潔な文章で少年たちの成長ぶりが描かれていきます。
大人になってふたたびおなじ物語を読むことは、過去の自分に帰ったり、友達や先生や家族とすごした日々を大切に思い出したり、そんなふうにして一瞬立ち止まって自分の人生をいとおしむことに似ているのかもしれませんね。
ほんのちょっぴりでも、昨日より素敵な私、素敵な大人でいられますように。

(原題『DAS FLIEGENDE KLASSENZIMMER』)
Author: ことり
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