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『園芸家12カ月』 カレル・チャペック、(訳)小松 太郎

評価:
カレル チャペック,Karel Capek,小松 太郎
中央公論社
¥ 520
(1996-03)

チェコの生んだ最も著名な作家カレル・チャペックは、こよなく園芸を愛した。彼は、人びとの心まで耕して、緑の木々を茂らせ、花々を咲かせる。その絶妙のユーモアは、園芸に興味のない人を園芸マニアにおちいらせ、園芸マニアをますます重症にしてしまう。無類に愉快な本。

とても楽しい園芸エッセイです。
なにかひとつのことにのめり込んでいるマニアの人って、どうしてこんなに愉快で滑稽で厄介で、そのくせとっても幸せそうなのでしょう!!

チャペックさんの頭のなかは、寝ても覚めてもお庭のことばかり。
土をふかふかにし、虫を追い払い、植付けをし、そえ木をあててやり、愛する花々のために毎日せっせと庭いじりに精をだします。
ひと雨こないかとやきもきし、降ったら降ったで降りすぎだと空に文句を言う。しゃがみ仕事でからだが痛んでくると、背骨のない動物をうらやましく思い、折りたたんだ脚がじゃまになる。もう植える場所なんかないのに次から次へと苗木がほしくなるし、旅先でだって家の花々が気にかかり、るすばんを頼んだ人に水をやってくれだの雑草を抜いてくれだの毎日毎日手紙を出す・・・。
もう可笑しいったらないのです。あれこれ気をもんで、アタフタしているチャペックさんを想像するとたまらなくて、くすくす笑いがこみ上げてきちゃう。
そうして一日として心の休まることのない一年をすごし、雪の降る季節になってふとゆっくりお庭をながめる余裕がなかったことに気づくだなんて・・・あああ、なんという皮肉・・・。

園芸マニアの哀しくも可笑しな生態が、ユーモラスな文章でつづられている一冊。
お兄さんのヨゼフ・チャペックさんが描かれた挿絵も味があってかわいくて、素敵にこのエッセイを盛りたててくれています。ヨゼフさんの挿絵は『長い長いお医者さんの話』でも楽しめます。

(原題『Zahradníkův rok』)
Author: ことり
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