<< 『通勤電車でよむ詩集』 (編著)小池 昌代*prev
『たちの悪い話』 バリー・ユアグロー、(訳)柴田 元幸 >>*next
 

『料理人』 ハリー・クレッシング、(訳)一ノ瀬 直二

評価:
ハリー・クレッシング
早川書房
¥ 819
(1972-02)

なんとも奇妙な、不気味な味わいのする本です。
見えないなにかにじわじわと侵食されて、にどと戻れないほどに溺れている・・・この怖さはまるで麻薬のよう。

コブという町に、ある日謎めいたひとりの男がやってきて、物語は幕をあけます。
丘の頂にりっぱな城をかまえ、かつては不仲だったヒル家とヴェイル家というふたつの名家がいまでは平和に半分ずつ土地を所有している小さな町。
そのコブの町に、2メートル近い長身で、死人のようにやせ、猛禽のくちばしのような鼻をした男がまっ黒な服に身をつつみ、自転車に乗ってやってきたのです・・・。
この男・コンラッドはヒル家の料理人(コック)として雇われます。
コンラッドのつくる料理は魔法でした。
彼の料理の虜になり、それまでの生活習慣さえ変えてしまうヒル家の人びと。コンラッドは時に冷酷で、いつも自信にみちたふるまいをしますが、彼の料理の評判は町じゅうに広まり、いつしか皆が彼の魔法にかかってしまって――

美味しい料理を武器に人びとを洗脳していく‘悪魔’の魅力。
人間関係が次第にねじれ反転しつつ、誰もがそれに気づかないで満足している?、そんなハッピーエンドともとれるラストがなおさら不気味。
作者の「ハリー・クレッシング」は筆名で、その素性はまったく分かっていないのだそうです。・・・どこまでもミステリアス!

(原題『THE COOK』)
Author: ことり
海外カ行(その他) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -