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『あるクリスマス』 トルーマン・カポーティ、(訳)村上 春樹

評価:
トールマン カポーティ,トルーマン・カポーティ,山本 容子
文藝春秋
¥ 1,594
(1989-12-01)

色とりどりの花咲く中庭、人魚のかたちをした噴水、父の1ダースの女友達――。
クリスマスの思い出』の前年、バディーが6歳の年のクリスマスのお話です。 両親が離婚して母方の実家にあずけられているバディーが、大好きなスックやクイーニーとひととき離れ、長いこと離れて住んでいた父親とニュー・オーリンズですごす、豪奢で窮屈なクリスマス。

父の抱擁よりもスックのおやすみのキスを、ピンク色の瀟洒な家よりも森に囲まれたアラバマの家を、悪夢のような牡蠣やぴりぴりしたレストランの料理よりもしぼりたての牛乳、手桶からじかに飲む糖蜜を恋しがるバディー。独りよがりな父親にたいするつめたい視線、打ち解けられないかたくなな思いがひとひら、またひとひらと降り積もってゆきます。
派手に暮らしながらもみたされなかった父親の淋しい横顔・・・ 父の愛を知らなかった孤独な少年は、過ぎ去った長い年月の果てに、雪の結晶のように繊細なあの日のかけらに愛を見いだす。
にどと帰らない淡い時間。大切にしまわれていた葉書。喉にかたまるほろ苦さ。
遠くはかない、たった一度きりの父親とのクリスマス。

(原題『One Christmas』)
Author: ことり
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