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『霧のむこうに住みたい』 須賀 敦子

評価:
須賀 敦子
河出書房新社
¥ 1,540
(2003-03-01)

<夜、駅ごとに待っている「時間」の断片を、夜行列車はたんねんに拾い集めてはそれらをひとつにつなぎあわせる>

きれいで美味しいお菓子みたいにたいせつに、時間をかけて読みました。
この人の文章は、どうしてこうも静かで凛と美しいのでしょう・・・。
端正で、上品で、けっして多くを語りすぎず、声高になることもなく。でもその思いはしっとりとつややかな手触りをもって伝わってきます。

記憶の片すみ、おもにイタリアの思い出をめぐるエッセイ。
語られるのはとうに過ぎ去ってしまったひとこまなのに、その時間、その空間が、ふわりと私の目の前に立ち現われます。
春のアスパラガスや真冬に追いかけた太陽、村じゅうの家々が草地に洗濯物を干す一日・・・そんなきらきらした記憶のかけらが、白い頁のうえでいのちをもらい、完璧に息づいているよう。

私の毎週の楽しみに『小さな村の物語 イタリア』というテレビ番組(BS)があります。
イタリアの小さな村を毎週ひとつずつピックアップして、そこでつつましく、ひそやかに暮らす村人たちの人生を紹介していくドキュメンタリーです。
この本を読んでいると、よく笑いよく食べよく遊び、古いものやなじんだものにこだわりながら、‘しなやかに正しく’生きている彼らの姿がかさなり合いました。
Author: ことり
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