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『半所有者』 河野 多惠子

評価:
河野 多恵子
新潮社
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(2001-11)

この美しさ・・・眩暈がしそう。ひどく贅沢な装本です。
そこから放たれるかぐわしい気配と高貴なまでの佇まいに、すいよせられるように購入しました。

ざらりとした手触りの扉を開け、ひもといてみると、内容はかなりショッキング。
妻が死んだ夜の寝ずの番。妻の遺体をまえにくり広げられる、夫の最後の執着の物語です。
これは犯罪? それとも、究極の愛?
愛とよぶには浅はかな、あまりにも身勝手な行為。かといって、犯罪とよぶには妻への深い思いが溢れすぎていて・・・。妖しくて、滑稽で、しずかに烈しい葬送の夜。

<もの>は余儀ない不器用さをまた強いたが、彼の亢奮が乱暴に一瞬でそれをこなさせた。一段の冷たさが鮮烈だった。その冷たさには、繰り返す都度、募る鮮烈さとが相俟って、突きあげられる感じがあった。女体の場合の快感とは、こういうものであったのか。彼は女体になり替った気がした。頭を擡げて、自分をそうさせている<もの>の顔を見た。

読み終えたあと、このお話を書かれたのが河野多惠子さん――女性作家だということをあらためて思うと、またべつの戦慄が走ります。
Author: ことり
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