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『わが悲しき娼婦たちの思い出』 G・ガルシア=マルケス、(訳)木村 榮一

これまでの幾年月を表向きは平凡な独り者で通してきたその男、実は往年夜の巷の猛者として鳴らしたもう一つの顔を持っていた。かくて昔なじみの娼家の女主人が取り持った14歳の少女との成り行きは・・・。悲しくも心温まる波乱の恋の物語。2004年発表。

エピグラフには、川端康成さんの『眠れる美女』の冒頭が引用されています。『眠れる美女』から想を得た本だというのでそちらを先に読んでみたのですが・・・、両者の雰囲気のちがい――この本にみなぎる生命力に唖然としてしまいました。
『眠れる美女』では死が色濃く影を落とし、老いの悲しさ、はかないものの美しさがお話のエロティシズムをよりいっそう際だたせているぶぶんがあったのにたいし、この『わが悲しき娼婦たちの思い出』はたくさんの行動力と前向きな思考が充満し、過去へ過去へと閉塞していく江口老人とは対照的。
このお話の主人公は、『眠れる美女』の主人公・江口老人よりも20歳以上も年上、90歳の誕生日をむかえた男だというのに。

不能の老人と裸体の少女――おなじ設定の物語でも、禁忌にたいする後ろ暗いような秘めやかさが感じられた『眠れる美女』のほうが私は好き。日本と中南米との気質のちがいもあるかもしれないし、『百年の孤独』があまりにもすばらしかったので期待しすぎたのもあるかもしれません。
もちろんこの本にもすてきだな、と思えるところはあって、人はいくつになっても生まれ変われる、90になって知る恋の苦しみもあるということ。・・・これってもしかしたら世の男性たちの究極の‘願望’なのかな。

(原題『Memoria de mis putas tristes』)
Author: ことり
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