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『あるキング』 伊坂 幸太郎

評価:
伊坂 幸太郎
徳間書店
¥ 1,260
(2009-08-26)

おまえは王になるためにこの世に生まれてきた。
天才が同空間に存在するとき、周囲の人間は畏れ敬うのか、それとも――王になるべく運命づけられた男の物語。

プロ野球「仙醍キングス」の熱烈ファンの両親のもとで、野球選手になるべく育てられた天才少年・山田王求(おうく)。
王求の生まれる瞬間から、幼児期、少年期、青年期と追っていくストーリーは、ひとりの天才が生みだされていく過程、天才をとりまく人びとの困惑と畏れを描き出し、「この子にはこの先どんな人生が待っているんだろう」 そんな期待と不安の入り交じった思いに読み手を引き込んでいきます。

ところどころで現われる謎めいた存在たち――黒ずくめの3人の女、緑色の猛獣、最後で明かされるユニフォーム姿の男――が物語の世界をいびつにゆがめて、シェイクスピアをなぞらえた混沌と不穏な気配に心ごと囚われてしまったみたい。強い祈りはかならず通じる、そんな怖いくらいにまっすぐな信念にも。
どんどん狂気じみていく王求の両親と、純粋なのにどこか虚ろな王求。
‘野球の王様’について‘野球の神様’が語った伝記は、輝かしいけれどひどく孤独で、哀しいけれどとても力強いものでした。

「悲しみはどんどん、人から人へうつっていくわけ。不安や苦痛もね。
だけど、王様にはうつらないのよ。悲しみも苦しみも。」
Author: ことり
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