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『イギリス海岸―イーハトーヴ短篇集』 木村 紅美

ずっと盛岡で暮らしつづける双子の姉・翠、盛岡を飛び出し東京でゆらゆらする双子の妹・梢。対照的な双子の姉妹を中心に「ふるさと」に対する様々な想いを描いた連作短編集。

宮沢賢治ゆかりの地を舞台にしたお話6編。
そこでしか食べられないという福田パンに始まって、イギリス海岸、光原社の中庭、ホームスパン、北上川、小岩井農場のソフトクリーム、双子のサイロ、じゃじゃ麺、雪の浄土ヶ浜・・・おだやかに広がってゆくイーハトーヴ・ワールドに、すっかり魅せられてしまいました。
「イギリス海岸」というのは花巻の宮沢賢治記念館のちかくにある川のほとりで、「白っぽい地層がイギリス辺りの海岸を思わせる」と言って在りし日の賢治さんが名づけられた場所だそうです。イギリスには一度も行ったことがないのに、というエピソードがまたすてきですよね。
お話の内容は、双子の姉妹・翠と梢を中心に、まわりの人びとがゆるゆるとつながっていくというもの。誰かとの出会い、別れ、再会・・・めぐり合わせみたいなものがとても自然に描かれていて、あと、「ふるさと」。人の心に描かれるふるさとの原風景とでもいうのかしら、山があって川があって海があって空気がきれいで・・・しっとりとした空気感でそれらが再現されていくのを読みながら、両親の暮らす私自身のふるさとのことを思わずにはいられなかった・・・、そんなやさしい匂いのする短編集でした。

宮沢賢治さんの世界は、子供の頃から大好きな私。
『銀河鉄道の夜』、『注文の多い料理店』などのお話や、『永訣の朝』の詩をいますぐ読み返したくなりました。そしていつか、イギリス海岸にも行ってみたいな。
Author: ことり
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