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『百年の孤独』 G・ガルシア=マルケス、(訳)鼓 直

評価:
ガブリエル ガルシア=マルケス
新潮社
¥ 2,940
(2006-12)

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく100年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家に受け継がれた孤独の深淵。
20世紀後半の世界文学を力強く牽引した怒涛の人間劇場。

すごい。すごいすごいすごいすごい・・・。まったく、なんという小説なのでしょう。
あまりにもダイナミックで骨太で豊潤な物語にすっかり放心状態の私です。本をとじた時、そのときからなんだかふわふわしているの・・・。

近親間にまれに産まれるという「豚のしっぽ」を怖れ、逃れてきた夫妻に端を発するブエンディア一族の100年におよぶ盛衰の物語。
夫妻が拓いたちいさな村・マコンドにジプシーのメルキアデスがやってきて、磁石や望遠鏡などさまざまな文明の利器を置いていくところからお話ははじまります。開拓者の妻・ウルスラが中心にどっしりとかまえ、それを絶世の美女や巨根の持ち主や伝説を背負った大佐たちがとり囲むようにして、ブエンディア一族はマコンドとともに栄えていくのです。
「ホセ・アルカディオ」「アウレリャノ」、女の子が生まれたなら「レメディオス」「ウルスラ」。長い年月のなかで似たような名前をつけることを執拗にくり返す一族。100年のうちに巻き起こる戦争やデモ、禁断の愛・・・男たちは戦い、女たちはプライドをぶつけ合います。
空とぶ絨毯や不眠症の流行にはじまり、昇天する女、とめどなく仔を産みつづける家畜、そしてメルキアデスがのこしていった古い羊皮紙――そんな幻想的な側面も、この壮大な物語にかかせない魅力のひとつ。

ゆっくりとお話はすすむのに波乱にみちていて、愛しあっているのに孤独。
絶望と野望、幻滅と狂気、苦悶と悦楽・・・相反するものたちが渦巻いて、生まれては死んでいき、そして因果はくり返される。物語はそんな一族の、そして村の運命をたどっていきます。
「この世の初めから未来永劫にわたる孤独」
この言葉がずっしりと心にのしかかったとき、圧倒されたもの・・・生きている人がいつのまにか背負っている荷物の重たさと、それでも愛をつらぬこうとする、人がもつ性(さが)の強靭さなのかも。
ほとばしる物語の奔流にのみ込まれ、押し流されて、そうして膨大な時の流れをへてたどり着いたラストでの衝撃。この余韻、私はとうぶん引きずってしまいそうです。

<この一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は――・・・>

(原題『Cien Años de Soledad』)
Author: ことり
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