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『BとIとRとD』 酒井 駒子

評価:
酒井 駒子
白泉社
¥ 1,620
(2009-06)

うんとずっと昔、ちいさな女の子だった頃、私のそばには神さまがいて。
小鳥やぬいぐるみともおしゃべりできる自分だけのちいさな王国がありました。
鳥の羽根や貝がらボタン、いい匂いのする花びらなどを小箱にこっそり隠していた頃・・・ポケットの中のちいちゃな石までみーんな親しかったひそやかで素敵な世界。しゃぼん玉のようにあっけなく消えてしまう淡い夢。

『昼間の蒸気機関車』、『図書館』、『お友達』、『12月』、『幼稚園』、『指しゃぶり』、『カミナリ』、『スイレン』。ちいさな女の子・□(しかく)ちゃんの淡い世界8編。
どれもこれも、存在すら忘れていたあのひみつの小箱を開けたような、そんな心地がしました。すやすやと眠りこんでいた遠い時間をそっと揺り起こしたような。
たしかにあった過去とゆらめく記憶。埃っぽくて、なつかしくて、――にどと戻れない。
「あっこれ、私も感じたことがある」・・・、そんな気持ちがとくべつ思い当たったお話は、『お友達』。
夢のすきまに遊び、とつぜんよび戻された時の、すべてが‘こわれる’あの感じ。
お友達はちゃんといたのに。たしかに生きて、そこにいたのに・・・。

曇りのない瞳。とっておきのひみつ。うしなわれた魔法。
□ちゃんのように白く柔らかな心に傷をおって、ちいさな涙をぽろりぽろりこぼして、みんな少しずつおとなになっていくんだね。
おとなになる、それはとてもせつなくて――、きっととても怖いこと。
Author: ことり
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