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『長崎くんの指』 東 直子

評価:
東 直子
マガジンハウス
¥ 1,470
(2006-07-20)

『長崎くんの指』、『バタフライガーデン』、『アマレット』、『道ばたさん』、『横穴式』、『長崎くんの今』。そして『夕暮れのひなたの国―あとがきにかえて』の、6編+1編。
先日参加した江國香織さんと金原瑞人さんの対談イベントで、『道ばたさん』が紹介される場面があり、むしょうに読んでみたくなって手にとりました。
読み始めてみると、どのお話もあるひとつの遊園地でつながっていく・・・そう、これはあるさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」をめぐる連作短編集。

「コキリコ・ピクニックランド」は山の中腹にある、閉園寸前の遊園地。
そう大きくない観覧車、蝶々の温室、「日本で一番長いゴーカート」と「日本で二番目に長いすべり台」、コーヒーカップに洞窟トンネルにパンダの遊具・・・お客さんのあまり来ない閑散とした遊園地に、行き場をなくした淋しい人びとがつどいます。
人と人が出逢い、ゆるりとつながっていくさまにしみじみしたり、ほろっと泣けたり。もともとはリアルな設定だったのに、いつのまにかフワフワと空をさまよっているような心もとない感覚におそわれていく・・・やさしくはかなげな人たちがつむぎ出す、どこか肌寒くてうすら怖くもある短編集でした。

みんな、いまごろどうしているんだろう・・・。
最後の『長崎くんの今』を読んでも心に張ったうす膜はなくならず、私の心も「コキリコ・ピクニックランド」で立ちつくしたまま。
灰色がかった水色の世界がぽやぽやと広がっています。
Author: ことり
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