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『アナイス・ニンの少女時代』 矢川 澄子

アナイス・ニンの膨大に残された無削除版『日記』を、限りない共感とともに、徹底的に読解することでかたちづくられた希有の評伝。
少女時代の“謎”に迫る問題作「あるモデルの話」の新訳を収録。

アナイス・ニンといえば、ヘンリー・ミラーとの奔放な愛に生きた美貌の女性作家。
けれども彼女には、緊密な絆で結ばれたヒューゴー・ガイラーという夫がいました。たった一人の最愛の夫がいながら、べつの男によって性の悦びを教えられ、その後もたくさんの男たちと関係を続けた女性。
心地よさ・・・ただそれだけを求めて生きているかのような美しい女性に、いつもけだるいような色っぽさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

ヒューゴーと私の愛の輪は、その外側で私が何をしても損なわれることはないはずだ。むしろ、外側の私の生き方があればこそ、彼への愛にも、欺瞞がなくなるのだ。(中略)
彼といながら、私が味わっている自由は、彼からの贈り物。その自由ゆえに、私の彼への愛は豊かにも、大きくもなる。
日記にはこう書きつづられていたといいます。なんという夫婦の結びつき・・・!
思わず、江國香織さんの小説『がらくた』にでてきた夫婦の姿を重ねあわせていた私です。ヒューとアナイスも、もしかしたら恋のきらめきをとどめおこうとしたのかな・・・そんなことを思って。なん十年も昔に、あの生活を地でやってのけた人たちがいた――そのことに驚いてしまったのです。

この本は、ある奔放で知的な一人の美しい女性について、遺された膨大な量の日記をひもとき、少女時代の謎にせまったもの。両親の離婚のため11歳で祖国・フランスを離れ、父の面影を追い求めたアナイスが、ヒューと出逢い結婚するまでの人生にスポットがあてられています。
エロティカ集『小鳥たち』しか読んだことのない私にとって、意外にも慎み深い、一人のかわいらしい少女がそこにいました。たとえ「カトリック的純潔主義の教育を受け、モデル時代の淫らな体験を、日記帳にさえ打明けられなかった」のだとしても。
Author: ことり
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