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『結ぶ』 皆川 博子

評価:
皆川 博子
文藝春秋
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(1998-11)

子供の目にしか見えぬ女の人や聖画に糸を吐く蜘蛛、犯罪を見抜く南国の占い師――斬新な着想と美しい比喩が織り成す幻想短篇集。

なんとも美しく、なんとも残酷な幻想空間・・・。
容赦のない凄みにガクガクと揺さぶられ、読みながら私はなんども頽れそうになってしまいました。
「そこは縫わないでと頼んだのに、縫われてしまった。」
こんな魅惑的な書き出しではじまる『結ぶ』は、なにを?どこを?と具象をつかもうとすればするほど迷子になってしまう、けれども人を惹きつけずにはおかない一編。
あいまいさが不安をかきたて、混沌とゆがんだ闇のなかでうかび上がる狂気。たんたんとした主人公の語り口がさらに恐怖心をあおります。

表題作ほか、『湖底』、『水色の煙』、『水の琴』、『城館』、『水族写真館』、『レイミア』、『花の眉間尺』、『空の果て』、『川』、『蜘蛛時計』、『火蟻』、『UBuMe』、『心臓売り』。異界とこの世を結ぶ14の物語は、絢爛たる毒をふりまいて、私たち読み手を迷宮のなかへ。
たとえるなら、熟れた果実のじゅくじゅくとした果肉。腐臭に変わる、その一歩手前の強烈な蜜の香り――甘美な刺激にみちたお話たちは、美しければ美しいほど毒気のつよい妖しい世界。
そのあまりの毒気にやられ、最後まで読めないお話もあったほどです。
Author: ことり
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