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『詩集 帆船のように』 ジュール・シュペルヴィエル、(訳)後藤 信幸

ジュール・シュペルヴィエル第二詩集。彼が17歳ごろから26歳までに書かれた詩を集めたもの、なのだそうです。
しずかにうたわれていくのは、鉛色の石のような孤独。
うつくしい絹糸を思わせるきれいな言葉たち。
亡き母を想った一編で、私の心にしみ入ってきたものをひとつご紹介します。こういう詩です。

きのう はじめて、
「亡母(はは)」の宝石を見た。
函から立ちのぼってきた 一つの声
痛ましくもせつない 過去の声。
(中略)
かつては輝いていたブローチの
「思い出」という言葉に 霧がかかっていた、
そして 艶を失った宝石から「不在の女(ひと)」の
おぼろな魂が立ちのぼっていた。
(中略)
一つ一つ それには見おぼえがあった、
ついぞ見たおぼえがないのに。 (『宝石』より)

(原題『Comme des Voiliers』)
Author: ことり
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