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『どこから行っても遠い町』 川上 弘美

評価:
川上 弘美
新潮社
¥ 1,575
(2008-11)
男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ「平凡」な主婦とその姑、両親の不仲をじっとみつめる小学生、裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房・・・東京の小さな町の商店街と、そこをゆきかう人々の、その平穏な日々にあるあやうさと幸福。短篇の名手による待望の傑作連作小説集。

まるでこの町の商店街をぶらりと一周してきたような、そんな読後感。
いくつかのお店と、そこに集い交錯する人びとと。生まれでるさまざまな思いが人情的でステキです。(私は「魚春」と「ぶどう屋」と「ロマン」の常連さんになりたい!)
『小屋のある屋上』、『午前六時のバケツ』、『夕つかたの水』、『蛇は穴に入る』、『長い夜の紅茶』、『四度めの浪花節』、『急降下するエレベーター』、『濡れたおんなの慕情』、『貝殻のある飾り窓』、『どこから行っても遠い町』、『ゆるく巻くかたつむりの殻』の11編。それぞれがぼんやりと、ゆるやかに繋がっていくのです。

一ばん心にしみたのは、最後の『ゆるく巻くかたつむりの殻』。
人は死んでからもだれかのなかで生き続ける。そのだれかが死んでしまっても、ずっとずっと「あたしのかけら」は生き続ける。だれかにつらなる、またほかのだれかの記憶の底で・・・。命ってそんなふうに、まあるくまあるく繋がっていくんだね。
幸福感がじんわりとしみだしてくるラストがすごく、すごく好いです。
Author: ことり
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