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『レクトロ物語』 ライナー・チムニク、(訳)上田 真而子

クレーン男』で、クレーン男の友だちとして出てくる夢みがちのレクトロが主人公。
ぷかぷかと色とりどりのふうせんをふくらませるみたいに、いつも新しい自分を夢みているレクトロ。
道路掃除夫、駅長代理、楽団員、郵便配達夫、消防士、飛行船のビラまき係など、さまざまな仕事につきますが、そのたびに奇妙な事件がふりかかり、どの仕事も長続きしません。けれどもレクトロはちっともへこたれず、また思いついた新しい仕事に大はりきりでとり組んでいくのです。

「バカンスみたいな気分ですよ」レクトロが叫びかえした。「そして、うっとりと夢にふけっていられます!」
「どんな夢にふけっているんだい?」
「大空と椰子のこと。それから、海はまっ青だろうなって!」

レクトロの言葉を借りるなら、「すべてがやわらかに透きとおり、この上もなく美しい響きとともに消えてしまう」夢そのものの物語。くすくすと楽しくて、それでいて人生の大切なことに気づかせてもくれる不思議なリアリティがあります。
ふんだんに盛り込まれた、細密で愉快なペン画がなんとも贅沢な一冊。

(原題『GESCHICHTEN VOM LEKTRO / NEUE GESCHICHTEN VOM LEKTRO』)
Author: ことり
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