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『ねむり姫』 澁澤 龍彦、(オブジェ)野村 直子

評価:

澁澤 龍彦,野村 直子,林 宏樹
アートン
 ¥ 1,575 
(2005-10)

頁をめくるたびに、こぼれ落ちるいくつものため息たち・・・。

石膏でつくられたオブジェがしらじらとうかび上がる蒼白の世界が広がっています。

そこから立ちのぼるひんやりと妖艶な気配が、はかなげな美しさの珠名姫――蒼味をおびるまでに透きとおった皮膚――に重なって、心がゾクゾクふるえだして。ほんとうに、思わず言葉をなくしてしまうくらいに美しい大人の絵本。


後白河法皇の院政のころより、およそ60年ほど。京に住むなにがしの中納言の娘・珠名姫と、その腹ちがいの兄ともくされるつむじ丸の数奇な運命のお話です。

あるとき、なにかに誘われるように深い深い眠りに落ちる珠名姫。ひたひたと満ちてくる水のように、美しくも不可解で幻想的な物語がはじまります。さりげなく描かれている輪鼓(りゅうご)や貝覆いなどの遊びが、ひそやかに「糸」や「つむじ」と結びついていて、珠名姫の昏睡の秘密を暗示しています。


みずみずしく横たわる姫君の、羽衣のようにはかなく螺鈿のように妖しい物語。

瞳をとじて、オフィーリアのように、すみれ色の夢の果てまで。

Author: ことり
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