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『タイコたたきの夢』 ライナー・チムニク、(訳)矢川 澄子

評価:
ライナー チムニク
パロル舎
¥ 1,680
(2000-12)
むかしむかしのこと、大きなもりの中にぽつんとある町の通りを、1人のタイコたたきがねり歩き、さけびだした。
「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」
ユーモアあふれる物語。81年刊の新装。

さいしょは一人だったタイコたたきが、ひとり、またひとりと増え、鈴なりになって町をねり歩きます。
やがて何百何千にもふくれあがったタイコたたきたちは、よいくに・よいくらしをもとめ三尺ほどの角材をめいめいにかついで(なにに使われるのかは読んでみてのおたのしみ!)、タイコをたたきながら住み慣れた町をでていくのですが・・・?

ユーモラスではあるけれど、笑ってばかりもいられない、どこか哀しさをふくませた雰囲気がただよっています。
タイコたたきたちは後ろなんてふり返らず、ひたすら前進するばかり。そのとちゅう、よその国との争いが起こり、たくさんの仲間が死んでゆきます。歩きつづけ、やせほそり、へとへとになって、上には空、わきにはタイコ、ゆくてにつづくはるかな道、そのほかのことは――地球がまんまるなことすら――忘れてしまう始末なのですから。
「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」
夢みる人、夢などさいしょからみない人、夢を追い求める人、そのとちゅうで挫折する人。みんながみんな、夢をかなえられるわけじゃない――この小さなお話に、そんなシビアな社会の縮図をみた私です。

(原題『DIE TROMMLER FÜR EINE BESSERE ZEIT』)
Author: ことり
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