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『臍の緒は妙薬』 河野 多惠子

評価:
河野 多惠子
新潮社
¥ 1,995
(2007-04)

毒か薬か、震える手で母は・・・自分の臍の緒が短くなっていることを知った女が推理を始める表題作。日中戦争が始まったころの尋常小学校の日常をリアルに描く「月光の曲」。占星術師に亡くなった夫を観てもらう女(「星辰」)、生まれ得たかも知れぬ子どもの像を密かに創る女(「魔」)。甘美な戦慄にいざなう純文学の醍醐味!

『臍の緒は妙薬』――なんとも魅惑的なタイトルに惹かれて。
収められた4つのお話に描かれるのは、生者と亡者の、あるいは過ぎ去りし日々との秘めやかな交感。静穏につつまれながらも日常からつい、と踏みだしてしまいそうなあやうさただよう短編集です。
艶っぽくなめらかなビロードのような文章。個々のラスト数行にほのみえる、女性の奥底にひそむひんやりとした‘魔’の姿。
一話読み終えるたび、知らぬふりをよそおいながらそっと本をとじ、つめていた息を解き放って・・・まるで何事もなかったみたいに私は日常に戻る。心に少しずつ、音もなく、澱のように溜まってゆくのは女の狡さ? それとも、物語の怖さ?
Author: ことり
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