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『感光生活』 小池 昌代

評価:
小池 昌代
筑摩書房
¥ 1,470
(2004-06)

日常生活の中に立ち現れる新たな変容と、記憶のように甦る永遠の相。「わたし」という謎の中心に生きて在る感触へむけて、深く降りてゆく15の短篇集。

子どもを産むことで死と再生を内包する女性の感覚、あふれ出た万年筆のインクが映し出す出会いの予感、公園で鳥に餌をやる老人との交感――人生の機微にふれる一瞬一瞬が、みごとに描きだされていく小説集です。
じつは、最初はエッセイだと思って読み始めたこの本。それがだんだん、日常は非日常と、現実は虚構とのあいだを行ったり来たり・・・「あれ?どこまでがほんとう?」そんな不思議な浮遊感がとても心地よかったのです。

小池昌代さんという作家は、ほんとうに本能的・感覚的にすぐれた方。
なにげない情景のなかから、ここぞ、という一瞬を切りとることの巧みなこと。
言い換えれば、小池さんに切りとられた時点でその一瞬はすでに「なにげなく」はないのですよね。そんな‘一瞬’が小池さんの選びぬかれた言葉たちとまじわるときのゾクゾクと体をめぐるなまなましい感覚を、私は愉しんでいるようです。
Author: ことり
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