<< 『蟋蟀』 栗田 有起*prev
『ねずみ女房』 ルーマー・ゴッデン、(訳)石井 桃子 >>*next
 

『七月の卵』〔短篇〕 江國 香織

「きょう、ひさしぶりにむかあっとした。」
その途端目の前のものの輪郭がぼやけて、音がなんにも聞こえなくなって、たぶん、内側で一瞬死ぬんだと思う――。
むかあっとした日、「私」はかならず卵を拾う。その日もつゆ草の根元に小ぶりの卵。
アンソロジー『夏ものがたり』のなかの一編。

江國香織さんらしい、倦んだ少女と夏のお話。
お母さんは半年前にでていって、いまはおばあちゃんとお父さんと3人暮らし。おばあちゃんにもらったお小遣いで「私」は鳥カゴを買います。卵から孵化した小さな生きものを飼うために・・・。
匂いの強い温室みかん、涼しげな米とぎの音、昼寝のあとの手足の怠さ。
残酷な少女のすがたが夏の色濃い空気にとけあった、不気味にかわいらしいファンタジーです。
Author: ことり
国内あ行(江國 香織) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -