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『蟋蟀』 栗田 有起

評価:
栗田 有起
筑摩書房
¥ 1,575
(2008-09)

生き物をモチーフにした10の物語集。おとぎ話ではありません。
位相を変えて眺めれば、ひとの真実が透けて見える。可笑しくて、そして哀しくもある不思議な世界。

潔いものが好きです。
だから私は栗田さんの小説に惹かれるのかな・・・。
栗田さんの書かれたお話でどれが一ばん好きですかと訊かれたら、私はまよわず『豆姉妹』(『ハミザベス』所収)を挙げるのですが、この短編集は『豆姉妹』のお話にとても通じるものを感じます。空気、のようなもの。骨格、のようなもの。ちょっと不器用でへんてこりんなあの感じがこの本のなかにもいっぱいに満ちているのです。
リアルな日常がぼやけていく、そんなくすくす不思議なお話たちに小さなわだかまりなんてスーっとどこかに消えてしまうみたい。
彼女の文章のある種の潔さ、お話にでてくる人びとが、私はほんとうに好き。

紹介文にあった「生き物をモチーフにした」という文章、これはかならずしもそうではなくて、動物がらみなのはタイトルだけ、そんなお話もありました。
『サラブレッド』、『あほろーとる』、『鮫島夫人』、『猫語教室』、『蛇口』、『アリクイ』、『さるのこしかけ』、『いのしし年』、『蟋蟀』、『ユニコーン』。
どれもお気に入りですが、ベスト3は『鮫島夫人』、『猫語教室』、『さるのこしかけ』。
Author: ことり
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