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『クレーン男』 ライナー・チムニク、(訳)矢川 澄子

評価:
ライナー・チムニク
童話屋
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(1981-03)

世界の終わりと再生を見届けたクレーンと、
そのクレーンをこよなく愛した男の物語。

町にクレーンがすえつけられることになり、クレーンの係に任命されたのは誰よりもクレーンにほれこんだ男でした。
彼はクレーンに乗ったままで暮らし、毎日とてもよく働きます。海賊がやってきたり、サーカスの象が逃げだしたり・・・戦争があってまわりがすべて海にのみこまれてしまっても、どんなときも彼がクレーンをおりることはありませんでした。いつでも整備を怠らず、仕事をつづけたのです。
ここには一人のプロフェッショナルの姿があります。その楽しく困難な一生が、自由奔放なペン画(これがほんと素敵!)と軽妙な文体でやさしく語られていきます。孤独だけれど、淡々とせつなく過ぎてゆくけど、とてもとても愛らしい寓話。
とくに大好きで、なんどもくり返し読んでしまったのは、サーカスのけものたちが暑さのせいですっかりおかしくなり、あれくるうところ。クレーン男の友だちで、のんびり屋のレクトロが、お花畑で一人うっとりとたのしい夢にふけるのも好き。

それにしても、矢川さんが訳された本にはハズレがない、そう思います。
私のなかで石井桃子さんや柴田元幸さんもそうなのですが、素晴らしい原作と素晴らしい訳者というのは目に見えないなにかで繋がれていて、運命なんて言葉では片づけられないほどのつよい力で引きよせ合っている・・・そんな気にさえなってしまう。この本の翻訳も、ほんとうに素晴らしいです。


サイン本です↓


(原題『DER KRAN』)
Author: ことり
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