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『神様からひと言』 荻原 浩

いっきに読んで、読めばスッキリ。元気とやる気をもらえるお話です。
入社早々「お客様相談室」にとばされた涼平は、個性豊かな同僚たちとクレーム処理に追われる日々。肩書きにすがって威厳をふりかざす上司、苛立ちまぎれに罵声を浴びせてくるクレーマー・・・さえない会社生活に加えプライベートでも同棲中の彼女に逃げられて・・・。そんな彼の毎日をユーモアたっぷりに描くサラリーマン小説。

勤め続けるうちにわかってくる、会社の暗部だとか会社勤めの不条理さ。
おでん鍋をつつきながら、涼平の先輩がおでんの具を自分たち会社人間に例えて話す場面が、とても印象的。「狭いとこでぐつぐつぐつぐつ煮詰まってさ、部長だ課長だ役員だなんて言ったって、しょせん鍋の中で昆布とちくわが、どっちが偉いかなんて言い合っているようなもんだ」 ここでは一ばん偉そうな牛スジも、よそへ行けば使ってもらえないし、安物のこんにゃくも味噌田楽屋に行けばエリート。そんな例え話にウンウンうなずいてしまいました。
後半、涼平が「おでん鍋」を引っかき回していくのはほんとうにおもしろくて胸のすく思い。でも私がこの本を好きなのは、ただおもしろいだけではなくて懸命に生きることの素晴らしさが伝わってくるせいかな。
「手の中に握ってるものが、たいしたもんじゃないことを知ってるのに、手のひらを開くのが怖いんだ。全部こぼれ出ちまうのが。本当にたいしたもんじゃなかったってことを知っちゃうのをさ」
神様は、一生懸命生きる私をきっとどこかで見ていてくれる・・・そんな希望がふつふつと湧いてきて、それでいてほろりと切ない物語でもあったのです。
Author: ことり
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