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『サイゴン・タンゴ・カフェ』 中山 可穂

情熱的なのにものうげで哀しい哀しいお語たち。
――まるで、「タンゴ」そのもののように。
私は文字を追っているだけ。ただそれだけで、迫力ある美しさがぐっと目の前にせまります。人生の悦びと哀しみ。どうしようもなさ。暗い過去を背負いながらも、心に傷を抱えながらも、ひっそりと逞しく生きる人びとの姿が描かれていきます。

東京、ブエノスアイレス、サイゴン・・・
タンゴの熱いリズムが全編に流れる狂熱の恋愛小説集。
身も心も、魂さえもすべて差し出してしまう彼女たちの切実な思いに、実際に激しい恋をひとつ終えたようなそんな憔悴した気持ちになったのは私だけ・・?可穂さんの小説を読むたびに、まるで情愛をさんざん食べ散らかしたあとの残骸を見ているような、空虚なもの淋しさと痛みがのこる・・・。
タンゴの国から遠く離れたハノイの片隅にあるカフェで、タンゴにとり憑かれたマダムが空白の20年間の情熱的な恋物語を語り聞かせる表題作ほか、バンドネオンの巨匠・ピアソラの曲に魅せられ書き上げられた『現実との三分間』『フーガと神秘』『ドブレAの悲しみ』、バンドネオンの音色にたくした女の哀しみと再生の物語『バンドネオンを弾く女』の全5編。からみつくような情熱の嵐を、ぜひ堪能してみてください。

時間は魔法のようなものね。
かぞえなければなくならないような気がするの。
ねえあなた、そうは思わない?
Author: ことり
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