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『役にたたない日々』 佐野 洋子

評価:
佐野 洋子
朝日新聞出版
¥ 1,575
(2008-05-07)

「68歳は閑である。バアさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい?冗談ではない。この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならぬ事を思いたい」
友人とともに料理をし、家族を思いながら、韓流や漢詩に身をこがす。人生の名言がゴロゴロ転がっているエッセイ集。

2003年秋から2008年冬までの出来事や思いを日記ふうにつづっていく、痛快エッセイ。言葉づかいが少しくらい乱暴でも、彼女の魂(こころ)の純粋さがしみ出してくる文章・・・言葉って、その人を、その人生をうつすのだなあと思います。
するどい人間観察や日々の爆笑エピソードからみえてくる佐野さんの‘あっぱれ’な心意気。おなじ女として背すじがのびる思い。
終盤、乳がんから骨への転移がみつかり、余命を医者に聞くところはびっくりするほどあっさりしていて、そのぶん読み手は心がしんとなります。余命2年を宣告されたその帰りにジャガーを購入し、「死ぬとわかるのは、自由の獲得と同じだと思う。」

「だっていつか死ぬじゃん、そんなのわかっているじゃん・・・もっと大変な病気いっぱいあるじゃん、・・・何でガンだけ『ソウゼツなたたかい』とか云うの、別にたたかわなくてもいいじゃん、私、たたかう人嫌いだよ」

おもしろくて笑ってしまう場面もたくさんなのに、読み終えるころには人生をたっぷり考えさせられている・・・そんなしみじみとした深い味わいの残る一冊。
余命2年――。佐野洋子さんが死んでしまったら、私は100万回生きた猫みたいにわあわあ声をあげて泣きじゃくろう、そう思いました。
Author: ことり
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