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『ババ、バサラ、サラバ』 小池 昌代

評価:
小池 昌代
本阿弥書店
¥ 2,625
(2008-01)

針山のなかに入っているのは
椿油をしみこませた人毛だよ
この一文を読んだとき、脳裡にうかんだのは遠い日の幼い私とまだ年若い祖母。
私の祖母も人毛を入れた針山をつかっていたのです。ぷっくりとふくらんだ臙脂色した祖母の針山・・・つめこまれた無数の髪の毛に、祖母以外の女のものは果たして入っていたのかどうか。なにやら心をかきたてられてしまった詩です。
‘ミシン’‘裁縫’・・・小池昌代さんの世界には縫い物にかんするものがたくさんでてくるせいでしょうか。この『針山』は、この詩集でもっとも彼女らしいという気がしました。針に糸を通すしぐさを、少女の官能に結びつけていくところなんかも・・・。

つばをつけてよった糸の先を
こころをとがらせ つきとおす
向こう側へ
裁縫はたのしい
つきさしてぬく
貫通のよろこび
(中略)
わたくしはまだ 十三歳ですけれど
貫通ならもうとっくに知っています
けど それは
わたくしにとって 痛みでしかない
おとこたちが かぶさってきて
とがった針の先で
わたくしをつつく (『針山』より)

「ババ、バサラ、サラバ」 不思議なひびき。
タイトルに使われているこの言葉は、けれどどの詩にも見当たりません。
「ババ、バサラ、サラバ」 こっそりと声に出してとなえてみたとき、にごった音がでる瞬間の、唇にほんの一瞬だけ伝わる振動がくすぐったくて気持ちいい。
Author: ことり
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