<< 『不思議の国のアリス』〔再読〕 ルイス・キャロル、(絵・訳)金子 國義*prev
『おやすみなさい フランシス』 ラッセル・ホーバン、(絵)ガース・ウイリアムズ、(訳)まつおか きょうこ >>*next
 

『ワニ―ジャングルの憂鬱 草原の無関心』 梨木 香歩、(絵)出久根 育

ジャングルの色鮮やかな濃緑と、動物たちのうつろな瞳・・・出久根さんの描かれたイラストがすばらしくきれいです。
主人公は、唯一ライオンにだけは一目置いている‘俺様体質’のワニ。弟妹さえ食べて生きてきたジャングルいちの嫌われ者。ある日ワニは、おやつがわりにパクつこうとしたカメレオンに「仲間を喰ってどうするんだ」ととがめられます。
「君、いったいどう思う?仲間を喰ったらいけないなんて、なら仲間でなければ喰ってもいいというのか、これは絶対おかしい。世の中には自分とそうでないものがいるだけなんだ」
ワニはライオンに、こうまくしたてますが・・・?

喰うか喰われるかのシビアな自然界。そこでのありさまは、私たち人間にとても重要なことを語りかけてくれるよう・・・。
仲間、そしてそうでないもの。私たちは身勝手に線を引いてしまいがちですが、その境界はじつに曖昧なのですよね。その点ワニは世の中を、自分と自分以外に分けている・・・それはとても淋しいことにも、きっぱりと潔いようにも思えます。
とてもうすっぺらい一冊なのに、いっぺんに噴き出してくるメッセージの奥深さに圧倒され、混乱し、考え込んでしまいました。
自然界、人間界について考えずにはいられない、これは大人のための絵本。
Author: ことり
国内な行(梨木 香歩) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -