<< 『マークスの山』 眤 薫*prev
『という、はなし』 吉田 篤弘、(絵)フジモト マサル >>*next
 

『トリツカレ男』 いしい しんじ

評価:
いしい しんじ
ビリケン出版
---
(2001-10)

ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。
何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc.
そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが・・・。

ああもう、なんて可愛いおはなし、なんてピュアなラブストーリーなのかしら・・・!
心がふわふわの焼きたてパンみたいにほっこりしてくる、とっても素敵な物語。
じつはこのおはなしには哀しいところもあるのです。胸のあたりがきゅんとなるくらい哀しいぶぶん。
それはペチカに忘れられない待ち人がいること。そしてトリツカレ男が、ペチカの笑顔から‘くすみ’をとりたい一心で奔走するところ。愛する人が自分以外の誰かを強く想っている・・・そんな状況でもその想いすらもやわらかくつつみ込んで守ってあげる、それが当たり前にできてしまうトリツカレ男のやさしさが哀しくて。
だけどその先にはまだまだ続きがあって、こんなきゅんと締めつけられるようなせつなさだけで終わったりはしないのが、このおはなしの素敵たるゆえん、なのです。

ぶきっちょだけど、まっすぐでまじりけのないジュゼッペの気持ち。
こんなふうに人を愛せたら、愛してもらえたら、幸せ・・・。

愛する人のいるすべての人に読んでみてほしい、おとなのための童話です。
ジュゼッペの恋を応援するハツカネズミがまた、いい味出してるの!


サイン本です↓
Author: ことり
国内あ行(その他) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -