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『体の贈り物』 レベッカ・ブラウン、(訳)柴田 元幸

評価:
レベッカ ブラウン
新潮社
¥ 562
(2004-09-29)

食べること、歩くこと、泣けること・・・重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。

濃密で、繊細で、ストレート。
物語としての贅肉をとことんそぎ落とし、心にきざみ込まれていく生の一瞬・・・脆くてささやかな、けれどかけがえのない日常がしずかに書きつけられている本です。
エイズを患っている人たちと、彼らによりそうホームケア・ワーカーの「私」。感動的なストーリーなどではなくて、ただ彼らの生活を綴っていくみずみずしい生命の記録は読んでいるだけで胸にこみあげるものがあります。

誰かにとって、「物語」はいつも救いであってほしい。
死について思いを馳せると、当たり前のようにそこにあった生がふたたび鮮やかによみがえってきて、それがとても尊いものであることに気づかせてくれます。
一つ一つがきっぱりと清潔な、硝子の箱にならべられたようなお話の集まり。これはたしかにギフトなのだと思う。

(原題『The Gifts of the Body』)
Author: ことり
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