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『人間そっくり』 安部 公房

ある晴れた五月の昼さがり、「こんにちは火星人」というラジオ番組の脚本家のところに火星人と自称する男がやってくるお話。
彼はたんなる気違いなのか、それとも火星人そっくりの人間か。はたまた人間そっくりの火星人なのか・・・男のたくみな弁舌にふりまわされ、脚本家はしだいに自分が何者か分からなくなっていきます。

昼間からカーテンを閉めきり、たばこの煙が充満するうす昏いアパートの一室。
やり込めてはやり込められる・・・脚本家と謎の男のかけひきの応酬。
かぎられた場所で、ほとんどが二人の会話だけで進んでいくお話だけど、そんなことなどものともせずに読み手を引っかき回してくれる本。めまぐるしく変わっていく状況に私は追いつくのがやっと・・・なのに追いついたかと思ったら、またひらりとかわされてしまうのです。

けっきょく、どれが真実でどれが妄想だったのかしら・・・。
「そうだ」ということの証明よりも、「そうではない」という証明のほうがむずかしい――その深さ、ややこしさを思います。
Author: ことり
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