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『週末の鬱金香』 田辺 聖子

すがすがしくて甘くせつなく、淋しい香りが匂い立った――。
若くても老いても、仕事を持ってしっとりと、ひとりで生きている女たちに訪れた恋の日々。出会いをかさね、やがて、心がやわらかくなだれ落ちるときがくる。夢のゆくえにあるものは、幸せの囁きだろうか・・・。
花の香りが漂う六つの愛の物語。

お話の結末がはやく知りたくなるものと、結末までのその過程を楽しみたいもの・・・世の小説をふたつに分けるなら、田辺聖子さんの書かれるものはいつも後者のような気がします。
長い人生の途上で、ふいに誰かと「心が寄り添ってしまう」キラキラとした一瞬。そういう瞬間が日常的な言葉でかろやかに切りとられたお話たちは、年齢をかさねたオトナならではの‘粋’がいっぱい。
解説の江國香織さんがサン=テグジュペリのこんな言葉を引用されています。
一日、また一日を伸びていける女、内心の内庭を往き来して、みずからを整えることに心する女、あくまで自分自身の立場を守って、咲きひらく自分自身の花をみいだす女、春に包まれた花の装いに眺め入る女、そういう女だけに救いがあるのである。
まさしく、田辺さんの描く女性はみんなそうで、読むたびうれしくなってしまうのです。
Author: ことり
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