<< 『わたしが妹だったとき』 佐野 洋子*prev
『PAY DAY!!!』 山田 詠美 >>*next
 

『貝がらと海の音』 庄野 潤三

評価:
庄野 潤三
新潮社
---
(1996-04)

「山の上」の家に、もうすぐ金婚式を迎える妻とふたりきりの生活。
育て上げた子どもたちは立派に成長し、そう遠くないところに暮らしていて、しばしば孫をつれて遊びに来たりする日常。
とくに大きな事件が起こるわけではなくて、庭に植えたばらの花が咲いたとか、長女が3匹の捨て犬をひろったとか、孫の書いた習字が金賞をとったとか・・・
そんな慎ましやかな日々のできごとの物語。

私小説、それともエッセイ?身の辺りで起きたささやかな喜びをひとつずつたんねんにつなげている本。そう、まるで小さな幸せをかさねてつくったミルフィーユみたい。
どんな小さなエピソードにも庄野さんの優しいまなざしがあふれていて、この本の、どの頁を読んでもニコニコ笑みがこぼれ、満ちたりた気持ちになります。
夜、シャトレーのショートケーキを頂く。おいしい。
午後、ブルームーンを見に行くと、蕾が一つ咲きかけている。うれしい。
「おいしい」「うれしい」そういう言葉がたくさんでてくるのって素敵ですよね!
毎日のありふれた暮らしのなかに、喜びはいっぱいいっぱいつまっている。そのことを庄野さんは飾らず、気どらず、ふんわり柔らかな文章で語りかけてくれています。
この本を読んでいると、一日として昨日とおなじ一日はなく、その日その日の積みかさねが穏やかな明日を、未来の日常をかたちづくるのだなあとしみじみ思いました。
遠い将来・・・夫と私の生活もこんなふうだったらいいな。
Author: ことり
国内さ行(庄野 潤三) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -