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『死者のための音楽』 山白 朝子

作家・山白朝子による待望の初単行本。
怪談専門誌『幽』2号から7号までに連載された「長い旅のはじまり」「井戸を下りる」「黄金工場」「未完の像」「鬼物語」「鳥とファフロッキーズ現象について」の六編に、書き下ろし「死者のための音楽」を加えた全七編の、異界との境界と、親子を描いた幻想的な短篇集。

読み始めたとたん、美しい怪奇の世界に足をとられる。
妖しくてほの昏く、静謐で残酷。そんなさむざむしい世界を前に立ちすくむ私。
けれどそれぞれのお話からせつない家族愛が感じられるせいでしょうか、怖いばかりの短編集ではなかったのです。むしろ愛のぬくもりや、グロテスクなぶぶんをはぎ取ったときにうかび上がってくる哀しみ・・・そういうものたちが余韻となって読後心にのこるようです。
7つのお話のなかで、私は『鳥とファフロッキーズ現象について』が一ばん好き。

『鳥とファフロッキーズ現象について』
ある日、屋根に引っかかっている大きな鳥を発見し、家で飼うことにした父と「私」。
その鳥には不思議な力がそなわっていた。「私」たちが欲しているものを察して、とってきてくれるのだ。
そんななか、父がなにものかに銃殺される。鳥はどこかに行ってしまったが、相変わらず「私」の欲しいものを届けてくれて――。

ドライアイスみたいな白煙をもやりとまとっているような佇まい。頁を開くその前からつめたい霊気を感じるこの本の装丁は、祖父江慎さんが手がけられています。
ユージニア』や『金曜日の砂糖ちゃん』、「ミステリーランド」のシリーズなどで私にとっても馴染み深いデザイナーさんですが、こちらもかなりの凝りよう。ほそくて長い3本の黒糸がほどこされた栞紐には一瞬ひやりとさせられました。女性の抜け落ちた髪の毛を彷彿させる、不気味な仕様・・・。
ところで著者の山白朝子さんはじつは乙一さんだという噂ですが、ほんとかな?
Author: ことり
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