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『翼の時間』 東 逸子

父さんと図書館へ行った。
ひとりで待つ時間・・・でも退屈ではなかった。古典のぎっしりつまった壮大な建物の中で、天使に案内されてすばらしい世界を見た・・・。
図書館のあの昼下がりの少年の夢。美しい絵本。

なんて、なんて、なんて・・・うつくしい絵本でしょうか。
この絵本のまえでは、世界じゅうの音という音が口をつぐんでしまいそうです。
樹々が枝をさしかわす小径のむこう、セピアの図書館。窓からのうすい日差しに無数の光の粒子が舞い散る書架。
幸福の象徴のようなターコイズ・ブルーの本があらわれ、
イマジネーションの翼がひらく――

天使たちにいざなわれ、少年はパンテオンのまるい天窓から宙へ翔びたちます。
どこまでもしずか、どこまでも煌びやか、どこまでも自由。
そのすばらしい旅は、すばらしい書物との出逢いでもきっとあるのでしょう。
一冊の本もまたひとつの幻想であり、ひとつの旅だから。

手元にのこされた蒼い羽根は、幼い日にかけられた物語の魔法みたい。
いつまでも消えない夢のしずく。眠るように幸せな天使たちとの時間のなごり。
Author: ことり
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