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『蟹塚縁起』 梨木 香歩、(絵)木内 達朗

評価:
梨木 香歩
理論社
¥ 1,365
(2003-02)

蒼白い月の光は、時間を超えたいくつもの魂の旅路を優しく照らし出す。幻灯のように浮かび上がる、静かな一夜の物語。とうきち自身気づかずにいた前世の無念は、律儀な蟹の群れと共に月夜に昇華される。幻想的絵本。

わたしたちはどこからきてどこへいくのでしょうか。

役目を終えたけなげな蟹たちが無数の蛍にかわり、月を指して白い光を曳きながら飛び立つさまは、心のなかに清浄なきらめきを、たしかな重みでもたらしてくれるようです。とうきちが最後に抱く「切ないような哀しいような、それでいて温かいようなたまらない心持ち」・・・それはまさに読んでいるこちらの気持ち、だったのです。
助けられた恩をかえしにきた蟹たちに、今度はみんなで楽しいことをやろうなと言えること。名主との根深いいさかいも、お互いが許しあい、一緒に満月を見上げることができること。憎しみがあらたな情感へと昇華していくありさまを、じつに繊細に描いてみせてくれています。
戦争やいじめや・・・世の中にはびこっているイヤな行為が、こういう本がきっかけで少しずつなくなっていけばいいのに。そんなことを思いました。
Author: ことり
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