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『クリスマスの思い出』 トルーマン・カポーティ、(訳)村上 春樹

評価:
トルーマン カポーティ
文藝春秋
¥ 1,697
(1990-11-25)

「ねえ、ごらんよ!」と彼女は叫ぶ。その息は窓を曇らせる。「フルーツケーキの季節が来たよ!」

いつまでたっても大人になれない老嬢と、彼女の無二の親友である少年バディー。 犬のクイーニーをまじえた、二人と一匹の、チャーミングなクリスマスの思い出。

貧しい彼らは一年じゅう節約をして、シーズンがおとずれるととびきりのフルーツケーキを大量に焼き、気に入った人たちに(大統領にも!)贈ります。
もみのきを切りにいく朝の、つめたい、冬の森の輝くような美しさ。相手をおもう気持ちがたっぷりつまった、二人と一匹のすてきなすてきなクリスマス。
思い出のなかにたいせつにしまわれたきらきらした日々、無垢な子供の心をもった人だけに映るような美しい景色たちに、心がしん・・と透きとおるのを感じました。

クリスマスやお正月の、朝からすべてがいつもと決定的にちがうあの感じ。
ぴつぴつはじけるサイダーみたいにきりっとまぶしいあの新鮮でとくべつな一日を、作者は空気ごと、お話にとじ込めたかったのかしら・・・。
この季節がやってくるたび、私はなんどでもこの本をひらいて、胸いっぱいにそんな空気をすいこんでみたくなることでしょう。

「最後の最後に私たちははっと悟るんだよ、神様は前々から私たちの前にそのお姿を現わしていらっしゃったんだということを。物事のあるがままの姿――私たちがいつも目にしていたもの、それがまさに神様のお姿だったんだよ。私はね、今日という日を胸に抱いたまま、今ここでぽっくりと死んでしまってもかまわないと思うよ」

(原題『A Christmas Memory』)
Author: ことり
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