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『誰よりも美しい妻』 井上 荒野

評価:
井上 荒野
マガジンハウス
¥ 1,575
(2005-12-15)

著名なヴァイオリニストの夫と、バレエ教室に通う「誰よりも美しい妻」。
妻を愛しながらも浮気をくり返す子供じみた男と、その浮気をすべて知りながら、けっして覚っているそぶりを見せない妻の、不可思議な情愛を描いた物語。
「誰よりも美しい妻」である園子を中心に、夫・惣介、息子・深、夫の‘恋人’から先妻まで・・・登場人物のほとんど全員がそれぞれメインになる章があり、彼ら全員の心理描写――かけひきやすれ違いを愉しむ、そんな描かれ方をしているようです。

夫の‘孤独’を愛している園子は、夫のことならばなんでも分かります。彼の気分も、今してほしいこともすべて。彼が恋をしているかどうかさえも。
そして恋をしている夫にも、夫がつれてくる恋人にも動じない、そんな園子にたいして息子の深が「怠惰だ」と言い放つ場面が印象的でした。
夫がどれだけ恋をしようと、自分の愛にも夫の愛にもゆるぎない自信を持ち、まるで母港のようにじっと夫の帰りを待つ完ぺきな妻。彼女はたしかに怠惰で痛々しいのかもしれないけれど、幸せなのか不幸なのかと言われれば、きっと、幸せなのだと思いました。
信じられる・・・それ自体もう幸せなのだから。

私が夫を愛することをやめたら、夫は廃人のようになってしまうだろう。少なくとも、ヴァイオリンは弾き続けられないだろう。それは、それほど夫が私を愛しているからではない。私が夫を愛しているからだ。私が自分を愛し続けることを、惣介は信じているからだ。
Author: ことり
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