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『人魚姫』 アンデルセン、(絵)清川 あさみ、(訳)金原 瑞人

評価:
アンデルセン
リトル・モア
¥ 2,100
(2007-06-26)

夏のある日、ひとめ見た瞬間に、すいよせられるように購入しました。
完訳の『人魚姫』。人間に焦がれた人魚の、美しすぎて、ひどく哀しい大人の絵本。

きれいな声と引きかえに、人間の脚をもらった人魚姫。
自分以外のお姫さまをえらんだ王子をどうしても殺せなかった人魚姫。
なにかを得るためにはなにかを犠牲にしなければならないこと、誰かを愛することのほんとうの意味――いろんな経験を重ねてきたいまだから、人魚の苦しみやせつなさを、子どもの頃とはちがった思いで受けとめている私自身に気づきます。
本音をいえば、いまでも王子がもどかしい。王女さまが憎らしい。そんな私は大人の一定水準にまでたっしていないのかもしれない。けれども、子どもの頃のようにただやみくもに感情をあふれさせるわけではなくて、どこかでものすごく納得もしているの。・・・それはもしかしたら、諦めることを知ったせい?

新しい訳と新しい絵でよみがえった、誰もが知っている物語。
幾重にもかさなる布、たんねんに縫いこまれた糸、宝石のように輝くビーズ・・・ひと糸ひと糸縫いつけられたみごとなアートワークにしばしうっとりと見とれました。
優雅におよぐ人魚たち、海の世界のあぶくやゆらめき。光り輝く青、蒼、紺碧のグラデーション。叶わぬ想いも、こぼれ落ちた涙も、いとしさ、せつなさ、夢やあこがれ、なにもかもがキラキラと輝いて、本のなかに閉じこめられているみたいです。

(原題『MERMAID』)
Author: ことり
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