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『やまなし』 宮沢 賢治、(絵)川上 和生

小さな小さな谷川の、青じろい水の底。
二ひきの蟹のきょうだいが、ひそひそお話をしています。

「クラムボンはわらっていたよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」

それはそれは清らかでうつくしい、青くすきとおった幻燈世界。
ふしぎさを残すなつかしい童話が、川上さんの絵によってますます透明でやさしい水の煌めきにつつまれます。
しんとしずかな月夜の川、その天井の光の網をわって――、トブン。
お空から降ってきたのはまるくておおきなやまなしでした。お父さんときょうだい蟹の可愛らしい横あるきのダンス。やまなしがぽかぽか流れ、月あかりの水にあまい匂いが満ちてゆきます。
二晩ねたら、いい匂いのお酒ができあがるから。「さあ、もう帰って寝よう、おいで。」
それはきっとお月さまのくれた魔法。
彼らは小さなグラスを傾けて、きんのしずくをのむでしょう。
Author: ことり
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