<< 『金魚』 えだ いずみ*prev
『子どもの隣り』 灰谷 健次郎 >>*next
 

『沈まぬ太陽』(全5巻) 山崎 豊子

巨大な航空会社のおそるべき裏面と暗闘・・・。時代と組織に弄ばれた主人公の苛酷な左遷。現代の流刑の徒を鮮烈に描く。(1巻)
家族との離別、果てしなき孤独を支えたアフリカの大地。理不尽な“現代の流刑”に耐える主人公と家族の、宿命の転変。(2巻)
御巣鷹山に墜落したジャンボ機に、何が起きたのか。犠牲者の無念の思い、遺族の慟哭と怒りが、深く胸を打つ・・・。(3巻)
御巣鷹山の墜落事故後、新会長・国見は恩地を会長室部長に抜擢した。だがそれは、新たなる苦闘の始まりだった・・・。(4巻)
“この地球上で最も危険で獰猛な動物は人間である”という警告は真実だった。恩地を待ち受けていたのは、畏れを知らぬ魑魅魍魎。(5巻)
日本を代表する航空会社の凄まじいまでの腐敗。85年の御巣鷹山事故の衝撃を出発点に、その内実を描いたノンフィクション・ノベル。

はあぁぁぁぁ・・・読み終えて、しばし呆然としました。
あの航空会社と至上最悪の被害を出した墜落事故を下敷きに、圧倒的な筆力と膨大な取材をもとに書かれた「小説」です。けれど主人公・恩地元のモデルはいるそうだし、どこまでがフィクションなのかわからなくて心がすくんでしまう。これがすべて事実なのだとしたら・・・そんな厭な想像をせずにはいられなくて、読んでいるとどんどん気持ちがふさいで暗澹としてくるのです。
第3巻では、当時小学生だった私にも衝撃的だったあの事故のようすがまざまざと描かれ、怖くて、かなしくて、悔しくて、涙と震えがとまりませんでした。

どうしてこんなことが起きたの?
なんでなんの罪もない人たちがこんな思いをしなくてはならないの?
あの事故の裏で、どんなことが起こっていたの?

ふつふつととめどなくこみ上げてくる怒りと、大きな黒い権力を前にしての無力さに、いまも胸がはりさけそうです。
これはきっと、読者一人ひとりがそれぞれの心で受け止めるべき本。
好き嫌いとか、合う合わないとか、そういう嗜好的なことは関係なしに、いまを生きる日本人ならばぜひ一読してほしい、そんな本だと思いました。
Author: ことり
国内や・ら・わ行(その他) | permalink | - | -
 
 

スポンサーサイト

Author: スポンサードリンク
- | permalink | - | -