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『ぽろぽろドール』 豊島 ミホ

評価:
豊島 ミホ
幻冬舎
¥ 1,470
(2007-06)

かすみの秘密は、死んだおばさまからもらった、頬をぴしりと打つとぽろんと涙をこぼす等身大の男の子の人形で・・・。
美しくも官能的で、残酷なまでの思いを人形に託した人たちの、切なくもまっすぐな物語。

ふわふわきらきら・・・幻想的な装丁にうっとりしながら頁をひらくと、そこに広がったのは、「人形」にただならぬ感情をいだく人びとの物語。
ちょっと引いてしまう世界のはずなのに、それほど抵抗なく入り込めたのはやっぱり私もかつて‘女の子’だったせい?ぬいぐるみをぎゅっと抱っこして、話しかけていた日々がたしかにあったせいなのかも。
『ぽろぽろドール』、『手のひらの中のやわらかな星』、『めざめる五月』、『サナギのままで』、『きみのいない夜には』、『僕が人形と眠るまで』――人形愛にまつわる6つの物語は、けれど張りさけそうな危うさも感じます。少し淫靡で、どこまでも不穏な。それはどの主人公も孤独をかかえ、やり場のない怒りや満たされぬ思いのたけを人形にぶつけているから。

なにかに依存しすぎている・・・そんな人をみるのはとても哀しい。
完璧な美しさをもつ人形は、自分の代わり。誰かの代わり。
そういえば、人形のある空間がどこか妖しげな気がするのはなぜかしら・・・。
閉じられた世界で、現実から目をそらしのめり込んでいく姿はどれも見ていて痛ましく、心がひんやりしたのです。
Author: ことり
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