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『一瞬でいい』 唯川 恵

評価:
唯川 恵
毎日新聞社
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(2007-07-20)
1973年11月、浅間山での出来事が18歳の二人の少女と一人の少年の運命を変えた。
事故の重みを胸に秘め、大人へと成長してゆく三人。
著者が自らと同年生まれに設定した主人公たちの18歳から49歳までの人生の軌跡を描く、すべての世代に贈る31年間のラブ・ストーリー。

みぢかな誰か(それはもちろん自分自身だったりもするのだけれど)を当てはめて、重ねてしまえる恋愛小説――私が唯川さんの本にいだいていたイメージです。
恋にまつわる悩みごとが人生の一大事。近しい主人公の近しいお話・・・どちらかと言うとかるい気持ちで読みたいときに重宝していた彼女の本。
けれどこの物語は、これまでのイメージをすっかり覆してしまうもの。波乱万丈、ドラマティック・・・こんな形容がぴったりの一冊なのです。

大切な友人を亡くしてしまった男女。十字架を背負いながら歩むそれぞれの人生は思いがけなく交わっては離れることをくり返し、激動の時代を加速度をまして進んでいきます。
複雑にからまる恋心。生活の変化。ぬぐい去れない罪悪感。
あまりにも自分を責め続ける彼らに、「もっとわがままに生きて。もっと自分の幸せに貪欲になっていいよ」と思わずにいられなかった私ですが、それは友人の死の責任の一端が自分にある、そんな経験を味わったことがないシアワセな人間の身勝手な言い分なのかもしれません。
人生は紙一重。奥深くてむずかしい・・・当たり前のことを重くせつなく痛感しました。おそろしく非情で、けれどとてもあたたかなことも。

「大切なものは壊れやすいの。若い時なら修復する時間はたっぷりあるけれど、私たちはもうそんなに若くない。」
‘もしも’の人生。これまで、そしてこれから。いろんなことを考えさせられます。
今まで読んだ唯川さんの本の中で、一ばんよかった。ずんと心にひびく物語です。
Author: ことり
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