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『ハミザベス』 栗田 有起

評価:
栗田 有起
集英社
¥ 1,470
(2003-01-06)

はたちになる直前、ハムスターとマンションを相続した、まちる。実家を出て、一人暮らしを始めるが・・・。
奇妙な設定を静かなユーモアで包んだ、注目作家のデビュー作ほか『豆姉妹』収録。第26回すばる文学賞受賞作。

複雑な家庭環境もなんのその。栗田さんのさらっとした小気味よい文体が、いつのまにか物語のなかにするりと入り込ませてくれます。
いっぷう変わったタイトルの由来をさぐりながら読んだ『ハミザベス』(それがなんともしっくり来る由来なのです)もよかったけれど、同時収録の『豆姉妹』。こちらが最高にステキでした。栗田さんの筆もすごくノッている感じ。楽しくて、それでいて繊細で、家族小説にも青春小説にも受けとれるお話は、思わずくすりと笑ってしまうユニークさもたまらなくて、もうほんととにかく大好き・・。

『豆姉妹』
‘時間差の双子’とよばれるほどよく似ている、つるんとした丸顔の姉と妹。
姉がいなかったら、私はいったいどうするだろう。この顔が目の前にないということは、私はひとりぼっちということだ。そうしたら部屋中に鏡を貼ろう。きっと私は自分の姿を姉と見まちがい、なぐさめられるだろう。嘘でも、さびしいよりはましかもしれない。
ある夏、高校生の妹は衝動的に髪をアフロにし、肛門科の看護婦をしていた姉は「内容聞いたら今やっていることとプレイ、大差なかった。それで給料は三倍なんだって。ばかばかしい」とSM嬢に転職してしまう。
そんなおかしな――けれどぜんぜん憎めない――仲良し姉妹が住む家に、おねえ言葉で話す義弟が居候としてとび込んできて・・・?

どちらのお話も、ちょっぴりいびつでどこかクールなその感じが、佐々木敦子さんの装画に不思議とマッチしています。
この方の絵は江國香織さんの『ホテルカクタス』でも使われていて、そのときも「なんてお話とぴったり合っているんだろう」と思ったのです。まったく雰囲気のちがうお話なのに、佐々木さんの絵ってすごいなぁと感心してしまった私です。
Author: ことり
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