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『ぐずべり』 清水 博子

評価:
清水 博子
講談社
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(2002-10)

北海道の大地で生まれ育った主人公の少女は、あまりに多感で敏感。 周囲の人間たちと摩擦の中、自分の物語はどんどん拡大してゆく。
頭の中の出来事と現実とがかみ合わない少女の視点から日常の機微を描いた「亜寒帯」。希望の持てない未来に少女が密かな復讐を試みる「ぐずべり」の2篇を収録。
硬く脆い殻の中。少女の機微を清冽に描く。

以前なにげなく購入した『街の座標』がよかったので、手にしてみた清水博子さんの最新作。
積もった雪の奥深く、息をひそめて存在している鉱石みたい・・・
いびつな光を放つ、ひやりと音のない小説だと思いました。些事のつまった日常に生々しくゆらめく狂気。息の長い文章、うねる官能。どこにも結ばれず、なににも交わらない孤独な「少女」の冷静なつぶやきに胸がきゅっと苦しくなる。
『亜寒帯』では中学生だった藍田亜子の記憶をたどり、そうして『ぐずべり』では時と語り手をうつしてなお記号化されたAA(=藍田亜子)の回想と傍観を。AAが内包する<AA>と≪AA≫・・・この絶妙な距離感がくるくると読み手をさらなるゆらめきの世界へ誘います。
かたくなで純粋で、なつかしくも痛々しい少女の思いが音もなく、とめどなく押し寄せてくるようです。
Author: ことり
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