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『モノレールねこ』 加納 朋子

評価:
加納 朋子
文藝春秋
¥ 1,600
(2006-11)

時をこえて届くあの頃からの贈りもの。
儚いけれど、揺るぎない――「家族」という絆。
デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。

‘死’や‘喪失’・・・哀しいことがテーマになっているお話たちを、柔らかくてふわふわしたものがつつんでいる、そんな一冊。
どんなに深い傷も、一生癒えそうにないかなしみも、そこで終わりなのではなくて、ちゃんとその先にひとすじの光を感じさせてくれるから、読み終えたとき暗さよりも明るさがのこります。
子どもにまで呆れられちゃう「ロクデナシ」の大人たちにもきちんと役割が与えられ、ふだんはけっしてほめられたものではない彼らにいつのまにかあたたかな視線をそそいでいる自分に気づく・・・そんなところにも加納さんの人柄と筆力を感じた私。

私のお気に入りは『マイ・フーリッシュ・アンクル』と『シンデレラのお城』。
ちょっと不思議でじんわりしみる、淡くステキなお話ばかり。おすすめです。
Author: ことり
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