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『ハサミ男』 殊能 将之

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。
精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

正直、こんなおもしろいミステリーははじめてでした。
私自身がこんなふうにひっかきまわされ、こんなふうに裏切られるなんて!
「ハサミ男」の奇妙な自殺嗜好症候群や、第二の人格・「医師」との会話、「ハサミ男事件」を追う刑事たちが真相にせまろうとする様子にいたるまで、読み手にはすべて開示されるので、すべてを見渡せているような感覚になれるのです。それが、罠。
この作家さんをまったく知らなかったことも油断していた理由のひとつなのだけれど、快調に読書をたのしんでいた私はある頁を境に、え?え?ええっ?!の連続。私はまんまとしてやられたのです。
読み手である自分自身に降りかかってくる仰天と不可解の嵐。頭がくらくらして、そこから先はもう整理することでせいいっぱいで、戻ってみては納得できる糸口を探しました。‘すべてを見渡せている’ように感じさせられていた時点で、すでに私は作者の術中にはまっていたのですね。
人間がとらわれがちな先入観というものを最大限にあやつって、みごとに私を意図する世界へと引きこんだ、殊能さんの一本勝ち。・・・まいりました!
Author: ことり
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