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『手紙』 東野 圭吾

評価:
東野 圭吾
毎日新聞社
¥ 1,680
(2003-03)

武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。
判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、やがて・・・。

いろんな意味で考えさせられてしまった小説です。
「殺人を犯したのは兄の剛志で、直貴は事件にまったく関わっていないのに。」
そのほとんどが直貴側から描かれるお話に、直貴はなんで何も悪くないのにこんな目に遭わなくちゃならないの?そんなふうに思った私はとんでもない偽善者でした。
そう思いながらもどこかでいごこちの悪さを感じずにはいられなかったから・・・。
そしてそれは、直貴に向けられる差別が、私自身のなかにも確実に存在することをしめしているのです。
彼等は応援はしても自分の手をさしのべようとはしてくれないのだと再認識した。直貴に幸せになってほしいと思ってはいる。だが自分は関わりたくないのだ。誰か別の人間が助けてやればいいのに――それが本音なのだ。

いったい、この世のどれだけの人が、ひとりの人間を差別なく、肩書きやレッテルに左右されることなく、その人個人の人となりだけで評価できるのでしょう。
そのいっぽうで、そうはできない人にたいして、誰が非難できるというのでしょう。
Author: ことり
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